Sicko

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遅ればせながら、見ました。
きっと賛否両論、いろんな意見があるんだろうなあ。
フランス在住者として気になったのは、フランスにおける医療や保育・教育がやたら「タダ、タダ」といわれていますが、それを支えるための社会保障費は決して軽くはない点は、ほとんど語られていなかったことです。
収入のレベルによっても違ってきますが、ほぼ法定最低賃金の月額1000ユーロからでも、約21パーセントの215ユーロほどが社会保障費として天引きされ、その上に約40パーセントの400ユーロほどが雇用者から支払われます。つまり、月額785ユーロの給料を受け取る人は600ユーロ以上を社会保障費として健康保険をはじめとする諸組織に支払っている、その上での医療(ほぼ)無料、保育・教育(ほぼ)無料なわけです。また、国庫から認められるのは医療費のすべてではありません。一般内科医・専門医とも診療費は自由に決められ、それに対して社会保障から払い戻しが受けられる額が細かく決まっており、差額は本人負担、民間の保険に入っていれば民間保険が差額も払い戻してくれます。民間保険は大体大人一人月額50ユーロくらいから加入できます。歯の治療などでは、セラミックの差し歯、ブリッジなどはまあ社会保障と民間保険をあわせても1/3くらいしかカバーされません。
さらに、夫婦で最低賃金収入だったらまあ税金は発生しませんが、まあ2000ユーロずつの月給があるとしましょう。税務署のサイトで計算したら税金は3218ユーロでした。二人で割っても1609ユーロ。1年でひと月分の給料に近い額が税金となります。その上で消費税は19.6%です…。
この映画を見るとアメリカ人が大挙してフランスに移住してきそうな気もしますが、そうならないわけは以上のとおり。でもこの映画を見た実感としては、、長く住めば、ヨーロッパで高い税金と社会保障を払い続ける価値はあるかなあ、というところです。