世界遺産・プロヴァンに行ってきました

中世の街 プロヴァン

友達がクルマを貸してくれたので、日帰り小旅行をしてきました。
行き先は、前から評判を聞いていた、パリから一番近い世界遺産プロヴァンProvins。ベルシーから高速に乗ってパリの東方向へ、ユーロディズニーの手前で南へ折れて県道をまっすぐ、県道からは森や畑、村々の教会の尖塔から尖塔をつなぐようなまっすぐな道で、もうまったく田舎の風景。パリから2時間弱のドライブです。
プロヴァンは中世の街。石造り・木造の建物がよく保存されています。ツーリスト・インフォのお姉さんもこんないでたちで迎えてくれます。街は小高い丘の上のVilleHauteヴィル・オートと丘の下のVilleBasseヴィル・バスに分かれています。
まずはヴィル・オートの中心、13世紀の十字架の立つシャテル広場を基点に出発。La Grange aux Dîme『10分の1税穀物倉』12世紀の建物。この時代に作られた石造り建物で今に残っているのは珍しい。シャンパーニュの大市に備えて、トゥルーズの商人が借りていたのだそうです。
次はシャンパーニュ候の力のシンボル、セザールの塔へ。このあたり、このプロヴァンの丘以外はまったく平らな地形で、この塔からぐるりと360度、本当に遠くまで、騎馬軍の砂埃もしっかり見えただろうなあ。何世紀もかけて作られた塔ですが、屋根がつけられたのは17世紀、そのころから残る梁です。
塔の傍らにはコレジアル・サン・キリアンス。コレジアルとは大き目の教会で、辞書の訳では参事会教会。ここの教会は、もひとつ上の序列のカテドラル司教座聖堂となるのを狙って、12世紀からかなり大きく作ろうとしたのに、財政難のため、途中で建造を止め、けっきょく半分しかない、みたいな建物になってしまったというもの。この写真の真ん中の塔から右に、あと1/3くらいは伸ばそうとしていたようだし、ステンドグラスが入るはずだった大きな丸窓も石でふさがれています。華やかさ、完全さを競うヨーロッパの古い建築の中では、ちょっとめずらしい間抜けさ加減です。
ヴィル・バスの方は、商人や職人の街だったよう。これは11世紀から増改築を繰り返した聖アユール教会。ここの前がプロヴァンの市場だったそうですが、今も商店街としてはメインストリート。こんなシブい、まるでジャック・タチの映画に出てくるみたいなお店も。
聖十字架教会は12世紀の建物を、16〜17世紀の建物が取り囲んでいます。このあたりの水はとても硬く、それがウールや革を染めたりなめしたりするのにとても適していたそうです。水路に面した家には、水路への出入り口や作業場が見えます。
世界遺産となると、自動車規制もしっかりするのでしょうか。プロヴァンは歩いて周れる広さで、特にヴィル・オートの方は乗り入れてくる車も少なく、静かに散策が楽しめました。毎年6月には、皆が中世の扮装で楽しむフェスティバルがあり、これがすごく面白いらしい。愛好者もなかなか多いらしく、中世衣装のメーカーもここにいくつかあるようです。今年の夏のバーゲンには甲冑をいかがでしょう?!!!
ヴィル・バスの方は花の活けこみが素晴らしい。特にこの取り合わせは、ほんとに私にはツボ。うちの窓辺の来年のお手本にしようと思います。

国道・県道から街への入り方が、いまひとつ表示不足で、初めての私たちはちょっとぐるぐる回らされてしまいました。パリから行く場合、この辺の地理に明るくない場合は、鉄道で行くのも疲れなくていいかな、と思います。