地方アイデンティティがテーマのお芝居を見ました。

[http://www.magflip.com/lola/:title=]お友達に誘われて、フランシュ・コンテ県の県民性から、広くフランスの今を批評するお芝居を見ました。といっても、ぜんぜん堅苦しいものではなく、要するにこの地方の田舎に住むおばあさんマドレーヌ・プルーストが、この地方の訛りそのままに、身の回りの人々や出来事をユーモアたっぷりに描写してゆく、笑わせるスケッチの連続また連続の1時間半です。
この役を演じるのは、脚本も自分で書いているLola Sémoninローラ・セモナン。このマドレーヌおばあさんのキャラクターは何年も前から確立されていて、本にもビデオにもなっていますが、辛らつで爆笑を誘う彼女はさしずめフランス版「いじわるばあさん」と言うところでしょうか。でも世界を旅してきたローラが描くおばあさんの視点は実はとてもグローバルです。
フランスのコミック演劇は、外国人が落語を聞くのを想像してもらえると良いのですが、外国人にはもっともせりふを理解するのが難しいものではあります。が、この舞台だと、観客のほとんどを占めるフランス人も同じ地方でなければ全部訛りが理解できないので、「え、今のなんて言ったの?」とかコショコショ聞きあっているので、あんまり疎外感を感じませんでした。
最後にちょっとほろりとするところもあって、いや、なかなか良かったです。
「出身のオリジンはどこ?」とよく尋ねてくるフランス人に、「日本です」と答えると、「日本のどこ?」とさらに突っ込まれるのがふつう。「山梨です。富士山の北側、日本では珍しくずっと昔からワインを作っているのよ」と答えると、なかなか皆さん感心してくださる。日本に詳しくなりたいのかな、と思っていましたが、なにフランス人も結構「県民性」みたいなアイデンティティから初対面の人を理解したい、と言うことのようです。これからは、出身を尋ねる質問には、「Yamanashi,Japon」と答えていこうかな。