独立ワイン生産者の試飲即売会

もうすぐ、ワインの大試飲即売会の時期です。(3月27〜30日、10〜20時)
展示会の様子と、試飲ワインを飲まずに吐き出すことに皆がコンプレックスを持たないで済むようユーモラスな『金の吐き出しバケツ』賞を設立したというビデオが作られていたのでご紹介。

この展示会は年に2度、3月末〜4月始めと、11月末〜12月始めにあります。春の展示会は秋よりも規模は小さいのですが、それでも300社くらいは出ていると思います。フランス各地の生産者が直接パリに来て個人やレストランなどに試飲即売をする機会で、十数年前に始まった頃は外国人も少なかったのですが、今ではワイン好きな日本人も多く訪れています。
私達はいつもこの機会にダースで買ってカーヴ、地下の物置にためておくことにしています。
生産者からじかに若いワインを買い、1年から5〜6年置いておけば、リーズナブルな予算でおいしいワインがのめるからです。
パリのアパートには、ふつう1件にひとつの地下物置カーヴが付いているのですが、湿度や温度、地下鉄の振動の伝わり方、などの条件がワインに合わないこともあり、また防犯上よほどしっかりしたドアや錠が付いていないと、無人の地下室でワイン専門の泥棒もたくさんいるようなので、安心して何年も保管して置けません。
私自身も、95年くらいに、87年物のエシェゾーとボーヌ・ロマネのいいものを同僚からの紹介で生産者から直接買えたのですが、「飲んじゃおうかな、取っとこうかな」と迷いながら地下室に入れておいたところ、しっかり盗まれてしまいました。被害届を出した警察の人も一緒にがっかりしてくれましたが、今でもしつこく覚えているくらい、「飲んでしまえばよかった」という後悔の念が強いのです。
まあ、パリのワイン好きが一度は通る道、ということなのですが。おととし新居に引っ越してからは、以前のオーナーが鍵屋さんだったそうで、鋼鉄のドアがカーヴについていまして、これで安心して、ワインを買いためられるね、と展示会のたびに注文して送ってもらっています。ところが、地下に貯蔵がある、ということは、ディナーのたびに、「もう1本、チーズにはあの赤を味わってもらわなくちゃ」とか、「食後にスウィートワインって洒落ているよね」などと言って補給に行けてしまうので、なかなか本数を取っておくのは難しい。ささやかな、投資と消費のあいだのジレンマです。