バロック音楽とコンテンポラリーダンス

今夜、モンマルトルで、すばらしいスペクタクルを見ました。
Koen Augustijnenと言うベルギーはフラマンのコレオグラファー、カンパニーはLES BALLETS C. DE LA B.の
『Ashes』と言う新作です。
音楽はヘンデルの原曲をアレンジしたもので、8人のダンサー/アクロバットと、5人のミュージシャン、アルトとソプラノの二人の歌手によるスペクタクルです。
このアルトのパートは男性によって歌われるのですが、まあ彼がすばらしくいいのですよ。バロック音楽を歌つきで、コンテンポラリーダンスと融合させるのに、アラン・プラテルというすばらしいコレオグラファーがいるのですが、このアウグスティネンという人は、プラテルのダンサーだった人です。3年前に同じ劇場で、アラン・プラテルの作品で、モンテヴェルディをこの人が歌うのを聴いたのですが、そのときの感動に負けず劣らず、でした。
リュート、バイオリン、チェロ、アコーデオン、それにマリンバという変わった編成の音楽陣ですが、こんなにエモーショナルにゆたかなヘンデルを聴いたのは初めて、と言うくらい感動しました。

音楽のことばかり書きましたが、ダンスももちろん素晴らしかった、
特に、韓国人のダンサーの音楽理解と、筋肉の強さと、表現の多彩さに、本当に感動しました。
幕が開くと、コンクリート作りのバラック数棟の周りに、幾人か人が倒れていて、死んでいるのか、と思うと痙攣したりしてそれがまた怖い、というシーンで始まります。
すぐに自然に、ガザの爆撃直後の様子を連想させられて、そこに入るマリンバヘンデルが、本当にレクイエム、死者を悼む音、という感じで、もうはじめからやられてしまいました。
中盤のデュオの連続もよかったですが、
終幕近くの、一番若い男性ダンサーが顔をニット帽ですっかり覆ってよたよた出て来、ぎこちなく硬直した身体で投石の動きをする、横のバラックのトタン屋根の上で、この男性歌手が切々と歌う、
もう、なんだか、涙腺完敗、という感じになってしまいました。

終演後、一緒に見に行った友人達はぜんぜんガザなんか連想しなかったそうなので、本当に、これは個人的な感想に過ぎませんが。

あと1週間、14日までやっています。(日曜を除く)
まだ切符も買えるそうなので、パリにお住まいで、ダンスや音楽がお好きな方にはぜひお勧めします。
15ユーロで、切符は劇場の窓口で買えます。窓口が開いているのは、月曜が11−19時、火曜から土曜日が11−20時
開演は8時半
場所はThéâtre de la Ville LES ABBESSES
31 RUE DES ABBESSES PARIS 18

Ashes Création
d'après des compositions originales de Georg Friedrich Haendel
Chorégraphie: Koen Augustijnen
direction musicale : Wim Selles
dramaturgie : Guy Colls
décor : Jean Bernard Koeman
lumière : Kurt Lefevre
son Sam Serruys
costumes Dorothée Cartry
créé et joué par: Athanasia Kanellopoulou, Beniamin Boar, Chantal Loïal, Gaël santisteva, Grégory Edelein, Jakob Truswkowski, Ligia Manuela Lewis, Sung-Im Her
Amaryllis dieltiens ou Irene Carpentier soprano,
Steve Dugardin alto masculin
Aurélie Dorzée violon
Otine de Bruyn ou Pieter Theuns luth
Mattijis Vanderleen marinba et percussion
Saartje Van Camp violoncelle