建築、散歩、パリ、甲府

街を歩くのが楽しい、街は歩くのに楽しくなければ、という建築家の本。

建築家だって散歩する

建築家だって散歩する

「唐突だが、世界の首都はどこだろう?と時々考える。月並みだが、おそらくパリかニューヨークで、この二つはやはり別格だなぁと訪れるたびにおもう。あるとき、1週間くらいの旅行でパリのつぎにロンドンを訪れた。ものすごく田舎に見えた。ロンドンの方スイマセン。パリはやっぱりすごい。道に犬の糞は落ちまくっているし、クルマもあふれていて、排気ガスもすごいけれど、とにかくまちが魅力的だ。文化の厚みが違う。建築や人々のたたずまいの洗練度が違う。まあ、格が違うんですね。」...、わが意を得たり、ありがとうございます。
確かにパリは、本当に歩いていて楽しいです。それは、高級ブティックや美術館がある中心だけではなく、このサンマルタン運河の周りや、ぼろぼろの建物が軒をつらねて再開発を待っているような街路も、です。
そして、この方は、甲府の出身。いまや全国一寂れていると言われているらしい甲府の中心から「まち」がなくなってしまったのを嘆いておられます。中学生くらいの頃、子供ながらに大好きだった甲府の街歩きのコースは、平和通の大きな時計・宝石店から西武デパートを冷やかし、スクランブル交差点を斜めにわたって、オギノの地下へいちど下りて、反対側のオリオンどおりに上り、岡島と中銀の間を通りすぎ、春日通を下って、甲府一の高級ブティック・ビオレの横から、ものすごく渋い喫茶店の「古瀬」へ...というもの。じぶんでは、甲府の街の一番洗練されたものを選んでみながら歩いている気がしていました。
今はどうなっているのか、実は見るのがなんとなく怖くて、前回帰ったときには中心街には近寄らなかったのです。
この著者のサイトを見ると、「甲府駅北口駅前広場再開発」という図が掲載されているので、甲府の再開発計画のも携わっておられるのでしょうか。故郷の甲府が歩いて楽しい街になったら、本当に嬉しいのですが...。