巨星墜つ

いま、ラジオをつけたら、午後4時のニュースで、ピナ・バウシュの訃報が流れてきました。
http://www.france-info.com/spip.php?article312889&theme=36&sous_theme=40
先週、癌なのが見つかったばかり、つい15日前には舞台に立っていたとのこと。

いやいや、清志郎の死もショックだったし、世間はマイケル・ジャクソンのニュースで一杯、とても仲良しだった友達が10年以上のパリ滞在から故郷のカナダへ帰ってしまったり、「ものには終わりがあるのだなあ...」と思っていたこのごろですが、ああ、ついに、と言う感じです。

私の若いときのアイドルでした。最初に見たのが、86年だから、もう20年以上前、東京公演もがらがらの頃。翌年にはヴッパタールへ全作品上演週間を見に行ったのでした。

パリに来てからも、毎年見に行っていましたが、90年代末ごろからは切符も取りにくいし、少し足が遠のいていました。ここ数年はまたちゃんとテアトル・ド・ラ・ヴィルでしっかり券を確保して見に行っていました。

今年のシーズンは、珍しく1月の公演。私たちは偶然最前列の端っこで、目の前で多くのシーンが演じられるかぶりつき。匂う様なダンサーたちの生命力、感情がフォルムとなって刻々と提示される迫力に、改めて深い感動を覚えました。

ことのほか寒い1月のパリ、終演後に劇場広場向かい側のシックなバーに、ドミニク・メルシーと小走りに駆け込んでくる姿をほほえましく見ていたのに。トレードマークのようなチェーンスモークのタバコを、もうパリのカフェでも室内では吸えないので、すごく残念そうにテラス席で消していたのを、見ていたのに。

これだけの大きな仕事をした人に、68歳と言う年齢は、若いのか、長いのか。
引退、と言うニュースもつらかったでしょうが、こんな急な訃報に、今はただ呆然とするばかりです。