白井剛×川口隆夫×藤本隆行【true/本当のこと】

ご無沙汰いたしました。
夏の間、新たに始めた仕事に忙殺されていたのも理由ですが、実は5日間のバカンスから戻ったときに昔の同僚だった方の急な訃報に接し、(諸行無常)という感じになっていた、というのが言い訳です。
最近でも、過去の記事を見ました、というご連絡もいただいたりし、申し訳ない、早く始めなければ、と思っていました。

というわけで、まずは先週末に見た素敵なダンス公演から。

もう日本でのツアー、アメリカ、シンガポール公演も終わって、この秋にはヨーロッパへ。最後のパリでは、Festival d'Automneにもプログラムされての公演。パリ日本文化会館もダンス好きのフランス人で満員の盛況でした。
コレオグラフ&テキスト&出演の川口さんは旧いお友達。フランス革命200年祭に湧くアヴィニオン・フェスティバルに一緒に行ったくらい、あわあわ、ダンサーの齢をばらしてすみません〜、というくらいの長いお付き合い。
この作品では、彼のエレガントさ、透明さがとてもよく出ていて、今まで見たうちでベストでした。ダンサーとしても、格段にうまい。ただそこにいる、ゆっくり歩く、動きはミニマルで存在感によって表現する、ということが出来る数少ないダンサーにおなりになった。
元は英語でかかれたテキストを、パリ公演では、フランス語で演じたのも見事。パリの観客からのヴィヴィッドな反応が得られた好演でした。
家に帰ってから、一緒に見に行った夫が発見。「そうか、テーブルの下が無意識、なんだ!」彼の見方では、意識上にあるいろいろな事や知覚が、ストン、と落ちるところだから、と。
なるほどね。そうすると、白井さんが『無意識』で、川口さんが『意識』。だから無意識はしゃべらなくて、行動も偶発的、意識が近くを言語化して無意識の行為に沿って意味をつけたり、はぐらかしたり、ということだったのか。そう思いながらシーンを思い返すと、二人が旋回して光と音を起こす、いやまるで二人を取り巻くカラフルな影が二人を旋回させているかのように見えたシーンなんて、とっても意味深に思えます。

テクノロジーの珍しさやその場の可笑しさに終わらない、後を引いていろいろ考え返したリできる、経験でした。
素敵な作品をありがとう!

来年以降のパリでの公演も楽しみにしています。